最高の一日

くだらないことを書きます。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました

先日、広島のシネツインに映画を見に行きました。

観たのは、岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』です。

 

その日は最終日ということもあって満席。映画館のシートに座れない方も大勢いて通路に座布団を敷いて観ておられました。今まで初日や最終日に映画館で観るということをしたことがなく、人の混む時間帯を避けることも多かったので新鮮な気持ちでした。

映画が始まるのは18:50からで、仕事帰りの方が多かったように見えました。何だか大人の雰囲気の中での鑑賞でした。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』については、下調べも全然せず、黒木華さんが出るという情報だけを携えて…。会場についてからこの映画が三時間あるということに気付いたのですが、そんな長い時間をあまり気にさせない、むしろ三時間でちょうどいいくらいの映画でした。

youtu.be

 

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公式サイトがとても素敵な装丁です。

 いろいろジャンルの方々がメッセージを書いていて、それがとても興味深いのでぜひお読みになってください。

rvw-bride.com

※まだご覧になっていない方、以下漠然とネタばれ含みますのででご注意くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

この映画では一体何を問題にしているのか観た直後にはわからなくて、今もよくわかりません。ただ、今のところわたしの頭の中には暫定的に「幸せの位相」という言葉が浮かんでいます。

前半の結婚生活と後半の「結婚生活」は、きっと幸せの位相が違うんだと思います。幸せになりたいと願って、社会的になんだか幸せらしいという「幸せ」に身をゆだねることと、心からそうしたいと思うことが「幸せ」として感得されていくことが前半後半で対照的に配置されていました。

 

印象的だったのは、前半のクライマックスでトランクを曳きながらただただ歩き続け、綾野剛演じる安室に電話をかけるシーンで「わたし、今どこにいるのかわからないんです」と言ったその言葉です。これって、道に迷った時に言うありきたりな言葉だけれど、よくある比喩で人生を道に喩えると、自分が何者なのか、今まで何をしていきてきたのかわからなくなってしまった、という、そんな言葉にも聞えました。ここはいいシーンだったと思う!

 

後半はCocco演じる真白と七海(黒木華)が歌うシーンがあるんですが、それがとてもよいです…。あと、真白の長い台詞、「私には幸せの限界がある」というのもなんだかじんわりきました。買ったものを袋に入れてくれるコンビニ店員も、荷物を届けてくれる宅配便の人も優しすぎて、耐えられないからお金で買っているんだ、というのは、みんなが気づかないようにしているこの世の真理みたいだな、と思いながら聞きました。

 

安室(綾野剛)はなんだったんだ、とか、結婚相手のその後とかいろいろ気になると思いながらも、善悪とかなにもかもがはっきりしないのが世界だなぁ、と、自分の想像で終わらせてしまうのがいいかなと考えました。「なんだか新しい映画だったな」と思ったのですが、なぜそう思ったのかもわからないのでもう少し自分で考えてみることにしたいです。

 

とにかく、黒木華さんがとても美しかったです。